
翔ける司法書士事務所
代表 中村 翔太郎
司法書士試験に合格し、実務経験を積んだのち、2024年に独立し「翔ける司法書士事務所」を設立。
複雑な相続手続きや、円満な資産承継を実現するための遺言書作成や家族信託業務に精通し、大切な財産を次世代へ確実に引き継ぐ手続きをサポートします。
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[財産承継]
遺言がない場合、相続は民法で定められた「法定相続」のルールに従って進められます。相続人の範囲や順位には細かい決まりがあり、知らないとトラブルにつながることも。
本記事では、法定相続の基本的なルールや具体的な相続分、注意点を解説します。
目次
法定相続人とは、故人の財産を相続する権利が法律で認められた人のことを指します。法定相続人には、配偶者や子ども、親、兄弟姉妹などが含まれますが、相続の優先順位が決まっており、誰が相続できるかは故人の家族構成によって変わります。
また、法定相続人の範囲は「血縁関係のある親族」が基本ですが、唯一例外として配偶者は常に相続人になります。
法定相続では、相続人になる人の優先順位が決められています。
第1順位:子(直系卑属)
故人の子どもが最優先の相続人となります。子どもが複数いる場合は、法定相続分を均等に分けることになります。子どもがすでに亡くなっている場合、その子(孫)が代わりに相続する「代襲相続」が適用されます。
第2順位:親(直系尊属)(第1順位の相続人がいない場合)
故人に子どもがいない場合は、故人の親(または祖父母)が相続人になります。両親がすでに亡くなっている場合は祖父母が相続人となります。
第3順位:兄弟姉妹(第1順位・第2順位の相続人がいない場合)
故人に子どもも親も祖父母もいない場合、故人の兄弟姉妹が相続人になります。兄弟姉妹がすでに亡くなっている場合、その子(甥・姪)が代わりに相続することができます。ただし、甥・姪の子(再代襲)は相続人にはなりません。
配偶者は、常に相続人となり、第1~第3順位の相続人と一緒に遺産を相続します。
つまり、相続人が「子ども」「親」「兄弟姉妹」のいずれのパターンであっても、配偶者は必ず相続権を持ちます。
このように、法定相続人の範囲や順位を理解しておくことで、遺産分割協議を円滑に進めることができます。
法定相続では、相続人の組み合わせによって遺産の取り分(法定相続分)が民法で定められています。 遺言がない場合、この割合を基準に遺産を分けることになります。
配偶者:1/2、子:1/2(子が複数いる場合は1/2を子の人数で均等に分割)
例えば、故人に配偶者と2人の子どもがいる場合、遺産は以下のように分割されます。
配偶者:2/3、親:1/3
故人に子どもがいない場合、相続人は配偶者と故人の親になります。
もし両親が健在なら、この1/3を父母で均等に分割します。
配偶者:3/4、兄弟姉妹:1/4
故人に子どもも親もいない場合、相続人は配偶者と兄弟姉妹になります。
兄弟姉妹が複数いる場合は、この1/4を均等に分けます。
兄弟姉妹で均等に分ける
故人に配偶者・子・親がいない場合、相続人は兄弟姉妹のみになります。兄弟姉妹が2人なら、遺産を1/2ずつ相続します。
法定相続分は、相続人間での合意がない場合として決められたものであり、相続人全員が合意すれば異なる割合で遺産を分けることも可能です。ただし、配偶者や子どもなどには最低限保証された遺産取得分である「遺留分」があるため、一部の相続人が極端に不利になるような分割は認められない可能性があります。
法定相続のルールに従えば遺産分割の基準は明確ですが、実際の相続ではさまざまな問題が発生することがあります。ここでは、特に注意すべきポイントについて解説します。
法定相続分は、各相続人の取り分を示す基準にすぎません。実際にどの財産を誰が相続するのかは、相続人全員で話し合う「遺産分割協議」によって決める必要があります。
例えば、自宅や自動車がある場合、単純に「1/2ずつ」と分けることは難しいため、話し合いで具体的な分け方を決めることになります。相続人全員の合意が必要なため、意見がまとまらないと相続手続きが進まないことに注意が必要です。
相続人が亡くなっている場合、その子(孫や甥・姪)が代わりに相続する「代襲相続」が適用されます。
ただし、兄弟姉妹の子(甥・姪)は代襲相続できますが、甥・姪の子(再代襲)は相続できないため注意が必要です。
相続人の中には、生前に故人から多額の財産を受け取っていた人や、故人の介護や事業のサポートをしていた人がいることがあります。こうしたケースでは、「特別受益」や「寄与分」という考え方が適用されることがあります。
法定相続分とは別に、一定の相続人には「遺留分」があります。遺言があった場合でも、配偶者・子・親には最低限の相続分が保証されており、これを侵害された相続人は「遺留分侵害額請求」を行うことができます。
ただし、遺留分は兄弟姉妹には認められていません。そのため、故人が「全財産を特定の兄弟に相続させる」という遺言を残しても、他の故人の兄弟は遺留分を主張することができません。
法定相続には明確なルールがあるものの、実際の相続ではさまざまなケースが発生します。スムーズに手続きを進めるためにも、法定相続のルールを正しく理解し、必要に応じて司法書士などの専門家に相談することが大切です。
遺言がない場合、相続は法律で定められた法定相続のルールに従って行われます。相続人の順位は子 → 親 → 兄弟姉妹の順で決まっており、配偶者は常に相続人になります。法定相続分も法律で定められていますが、実際には遺産分割協議を行い、相続人全員の合意を得る必要があります。
また、相続には代襲相続、特別受益、寄与分、遺留分といったルールがあり、これらを理解しておかないと、後々トラブルに発展することもあります。
相続は個々のケースによって複雑になることが多いため、トラブルを避けるためにも、必要に応じて専門家(司法書士・税理士・弁護士)に相談しながら進めることをおすすめします。
遺言がない場合、必ず法定相続のルール通りに遺産を分ける必要がありますか?
法定相続分はあくまで目安であり、相続人全員が合意すれば異なる割合で遺産を分割することも可能です。ただし、遺産分割協議で全員の同意が得られない場合は、法定相続分に従って遺産を分けることになります。
法定相続人の順位はどのように決まりますか?
法定相続人は、第1順位:子、第2順位:親、第3順位:兄弟姉妹の順で決まります。配偶者は常に相続人となり、これらの相続人と一緒に遺産を相続します。
遺留分はどのように計算されますか?
遺留分は、法定相続分の一定割合を保障する制度です。基本的に、配偶者や子どもには法定相続分の1/2、直系尊属(親)には法定相続分の1/3が遺留分として認められます。兄弟姉妹には遺留分はありません。遺産分割協議は必ずしなければなりませんか?
相続人が複数いる場合で、具体的にどの財産を誰が相続するのかを決めるためには、遺産分割協議を行う必要があります。協議がまとまらない場合は、家庭裁判所で「遺産分割調停」や「審判」を行うことになります。
法定相続分通りに遺産を分割する場合は必ずしも遺産分割協議が必要というわけではありません。
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