
翔ける司法書士事務所
代表 中村 翔太郎
司法書士試験に合格し、実務経験を積んだのち、2024年に独立し「翔ける司法書士事務所」を設立。
複雑な相続手続きや、円満な資産承継を実現するための遺言書作成や家族信託業務に精通し、大切な財産を次世代へ確実に引き継ぐ手続きをサポートします。
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[財産承継]
不動産を相続する際、未登記の不動産が見つかることがあります。未登記のままでは名義変更ができず、売却や活用が難しくなるだけでなく、相続人間のトラブルの原因にもなりかねません。本記事では、未登記不動産の相続登記の方法や必要な手続き、注意点について解説します。
未登記不動産とは、法務局に所有者の情報が正式に登録されていない不動産のことを指します。本来、不動産を取得した際には登記を行い、所有者を公的に証明する必要があります。しかし、何らかの理由で登記がされていない場合、その不動産は未登記の状態となります。
登記がないため、法務局の登記簿謄本を確認しても所有者の情報を得ることができません。そのため、相続や売却の際に問題が生じることがあります。
未登記不動産が発生する理由はいくつか考えられます。
まずは、建物を新築した際に登記を怠ったケースです。建物を新しく建てた際、所有者が登記の手続きを行わないと、その建物は未登記のままとなります。特に古い時代に建てられた家屋や、増築をした場合などで、このようなケースが多く見られます。
次に、過去の相続時に登記がされなかった場合です。以前の所有者が亡くなり、その相続人が登記を行わないままにしていた場合、登記の名義人は故人のままになります。
そして、親族間の売買や贈与などによって所有者が変わったにもかかわらず、正式な登記が行われなかったケースです。特に家族間での取り決めによって不動産が引き渡される場合、手続きを省略してしまうことがあり、結果として未登記のままになってしまいます。
未登記不動産は所有者が不明確になることで、相続の手続きが煩雑になったり、第三者に権利を主張しにくくなったりする問題を引き起こします。そのため、相続が発生した際には、できるだけ早めに対処することが大切です。
不動産の相続登記をする場合、通常は登記簿上の所有者の名義を故人から相続人に変更する名義変更登記を行います。しかし、そもそも登記記録が存在しない未登記建物の場合は、建物の「表題登記」から開始する必要があります。
その際、建物の所有権を証明する資料が必要になりますが、古くに建築された建物の場合はこれらの資料が見つからないことがあり、手続きが遅れる可能性があります。
未登記のままでは、不動産の正式な所有者が誰なのかが明確でないため、その不動産を売却することができません。不動産を売却するには、登記を済ませ、買主に対して所有権を移転する手続きを行う必要があります。しかし、未登記の状態ではこの所有権移転の登記ができず、売却が難しくなります。
また、未登記不動産は金融機関の担保にも利用できないため、資産としての活用が制限されます。例えば、不動産を担保にして融資を受ける場合、法務局の登記簿に所有者として記載されていることが条件になります。そのため、未登記の状態では不動産を資産として有効活用することができません。
未登記の不動産は、誰が所有者であるかが明確になっていないため、関係者の間でトラブルになることがあります。例えば、相続人の一人が「この土地は亡くなった父の兄弟で話し合って父が所有者になっていた。」と主張したとしても、登記がなければその主張を証明することは困難です。その結果、関係者同士で意見が食い違い、遺産分割協議がまとまらないケースも少なくありません。
また、相続が繰り返されると相続人の数が増えてしまい、同意を得るのが難しくなります。相続人が全国各地、場合によっては海外にいることもあり、手続きがスムーズに進まないケースもあります。
このように、未登記の不動産は相続登記の手続きが難しくなるだけでなく、売却や活用にも制限がかかり、さらには相続人間のトラブルの原因にもなりかねません。相続が発生した際には、早めに登記手続きを進めることが大切です。
未登記の不動産を相続する際、状況によって手続きが異なります。具体的には、「表題登記がされていない場合」と「所有権移転登記がされていない場合」の2つのケースに分けられます。
どちらのケースでも、まずは不動産の所有者を確認することが重要です。未登記の不動産には登記簿が存在しないため、次のような書類をもとに所有者を特定します。
表題登記がされていない場合、特に所有者の証明が難しくなるため、できるだけ多くの証拠資料から特定するよう努めます。
建物の表題登記がされていない場合、相続登記の前に「表題登記」を行う必要があります。 表題登記とは、建物の所在地や構造、面積などを登記簿に記録する手続きです。表題登記が済んでいないと相続登記ができないため、この手続きを先に済ませる必要があります。
不動産の表題登記はあるものの、故人の名義になっていない場合、相続登記の前に「所有権移転登記」を行う必要があります。これは、前の所有者(故人の親など)から故人への名義変更を行う手続きです。
上記2の表題登記や3の所有権移転登記が完了したら、ようやく相続登記を申請できます。必要書類を揃え、法務局に登記を申請します。
未登記不動産の相続登記は、通常の登記と比べて手続きが複雑になることが多いため、司法書士や土地家屋調査士に相談することをおススメします。
未登記不動産の相続登記は、通常の登記よりも手続きが複雑になることが多くあります。
未登記の不動産は、相続が繰り返されると相続人が増えてしまい、手続きがより困難になります。例えば、故人の子どもが相続登記をしないまま亡くなると、その子どもの相続人が新たな相続人となり、関係者が増えてしまいます。
遺産分割協議を行うには相続人全員の合意が必要になり、関係者が増えると手続きがより複雑になるため、できるだけ早い段階で手続きを進めることが大切です。
未登記不動産の相続登記を行うには、所有者を証明するための資料(固定資産税の納税通知書、建築確認申請書、売買契約書など)が必要です。しかし、古い不動産の場合、こうした書類が紛失していることも少なくありません。
書類が揃わない場合、追加で証明資料を求められることがあるため、司法書士や法務局に相談しながら進めるとよいでしょう。
2024年4月1日から、相続登記の申請が義務化されました。これにより、相続が発生した場合、3年以内に相続登記を申請しなければなりません。正当な理由なく申請を怠ると、10万円以下の過料(罰則)が科される可能性があります。
未登記の不動産についても、この義務化の対象となるため、相続が発生したらできるだけ早めに登記手続きを進めることが大切です。
相続登記の義務化についてはこちらの記事を参考にしてください。
不動産を相続する場合、その不動産が故人の名義になっているか確認することが大切です。そして、表題登記がされていなかったり、所有権移転登記がされていない場合、通常の相続と比べて手続きが複雑になります。
未登記のままでは、相続登記がスムーズに進まないだけでなく、売却や担保設定ができず、不動産の有効活用が難しくなります。さらに、相続が繰り返されることで相続人が増え、手続きがより複雑になるリスクもあります。
また、2024年4月から相続登記が義務化され、3年以内に登記をしないと罰則の対象になる可能性もあるため、早めの対応が求められます。未登記不動産の相続登記は手続きが煩雑になることが多いため、必要に応じて司法書士や土地家屋調査士などの専門家に相談しながら進めると安心です。
未登記不動産でも相続登記はできますか?
未登記不動産を相続登記するには、通常の登記よりも複雑な手続きが必要になります。特に、表題登記がされていない場合は、相続登記の前に表題登記を行う必要があります。また、所有権移転登記がされていない場合は、故人への名義変更を行ってから相続登記を進める必要があります。
相続登記の義務化とは何ですか?
2024年4月1日から、相続登記の申請が義務化されました。これにより、相続が発生した場合は、自身が相続人であることを知った日から3年以内に相続登記を申請しなければならず、正当な理由なく申請を怠ると10万円以下の過料が科される可能性があります。
未登記不動産もこの義務化の対象となるため、相続が発生したら早めに登記手続きを進めることが重要です。
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