
翔ける司法書士事務所
代表 中村 翔太郎
司法書士試験に合格し、実務経験を積んだのち、2024年に独立し「翔ける司法書士事務所」を設立。
複雑な相続手続きや、円満な資産承継を実現するための遺言書作成や家族信託業務に精通し、大切な財産を次世代へ確実に引き継ぐ手続きをサポートします。
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[財産承継]
2人以上で不動産を相続すると、複数人での所有となり、売却や管理に制約が生じることがあります。そのようなトラブルを避けるために重要なのが「換価分割」と「持分売却」という選択肢です。
本記事では、それぞれのメリット・デメリットや選び方について解説します。最適な方法を見極めるために、専門家への相談も視野に入れて対応しましょう。
目次
相続人が複数いる場合に不動産を相続すると、「共有名義」になります。相続した不動産が共有名義になると、各相続人がそれぞれの持分を持つことになります。
共有名義の不動産は、単独での所有とは異なり、管理や処分に関する制約が生じます。たとえば、売却をする際には、共有者全員の同意が必要となるため、一人の判断で自由に動かすことができません。また、共有者の間で管理費用の負担や修繕方針をめぐって意見が対立することもあり、将来的なトラブルにつながることが少なくありません。
さらに、共有者の一人が亡くなると、その持分がさらに相続されて権利関係が複雑化します。次第に共有者の数が増え、意思決定が難しくなる「権利関係の分散」も大きな問題です。
特に注意が必要なのは、以下のようなケースです。
不動産が含まれる遺産を相続人が2人以上で相続する場合、トラブルを避けるために「換価分割」という方法を選択することができます。換価分割とは、不動産を売却し、その売却代金を相続人同士で分ける方法です。共有状態を解消しつつ、現金化することで公平な分配が可能になります。
換価分割のメリットとしては、次のようなことが挙げられます。
・現金化することで、相続人の人数が多くても公平に分配することができます。
・将来的なトラブルを防ぐことができます。共有名義のままだと売却などの手続きの際に全員の同意が必要になりますが、換価分割を行えばそうした問題を回避できます。
・固定資産税や維持管理の負担がなくなることも重要です。共有名義のままにしておくと、相続人は固定資産税や修繕費を負担し続けなければなりませんが、換価分割をすればこうした負担から解放されます。
一方で、換価分割にはデメリットもあります。
・換価分割を実行して現金化するためには手続きの手間や費用がかかります。換価分割をするには、遺産分割協議を行い、換価分割することについて相続人の全員が合意しなければなりません。
・売却時に希望価格で売れるとは限らない点には注意が必要です。また、市場価格に左右されるという点も考慮しなければなりません。
・売却時は登記費用など経費や税金がかかり、不動産会社に仲介を依頼する場合は仲介手数料などの費用が発生します。これらの費用が相続人にとって予想外の負担になることもあります。
換価分割は、共有名義の不動産を整理する有効な手段ですが、売却のタイミングや相続人間の合意が重要になります。市場価格をしっかり把握し、売却後の税金についても事前に確認しておくことが大切です。
共有名義で不動産を相続したものの、他の共有者との合意が得られず売却が難しい場合、「持分売却」という方法を選択することができます。持分売却とは、自分が所有する共有持分だけを第三者に売却する方法です。
・持分売却の最大のメリットは、他の共有者の同意が不要であることです。通常、不動産全体を売却する際は共有者全員の同意が必要ですが、持分だけを売却する場合は、単独で売却手続きを進めることができます。そのため、共有者の中に売却に反対する人がいても、自分の持分だけを売って現金化することが可能です。
・また、持分売却を専門に扱う不動産会社が存在するため、個人で買い手を探すのが難しい場合でも、こうした会社を利用することで売却を進めやすくなります。
持分売却には、下記のデメリットが考えられます。
・持分のみでは買い手が限られる点です。不動産全体を購入できる場合と比べ、持分だけを買いたいという人は限られるため、売却価格が相場よりも低くなりがちです。特に一般の個人ではなく、持分を専門に扱う業者が買い手になることが多く、価格交渉が厳しくなるケースもあります。
・他の共有者との関係が悪化するリスクも考慮しなければなりません。持分を売却すると、新たな共有者(第三者)が加わることになります。場合によっては、買い手が不動産投資を目的とする業者である可能性もあり、これが原因で残りの共有者とのトラブルに発展することもあります。
・持分単体の売却価格が低くなりやすい点もデメリットです。不動産全体の価値が高くても、持分だけでは市場価値が下がるため、想定よりも低い金額で売却せざるを得ないことが多いです。
持分売却は、共有者の合意を得られない場合に有効な手段ですが、売却価格が低くなるリスクや、他の共有者との関係悪化などのデメリットを理解したうえで慎重に進める必要があります。
2人以上で不動産を相続すると、複数の相続人で不動産を管理することになり、売却や維持に関するトラブルが発生しやすくなります。そのため、相続後にどのように不動産を扱うかを慎重に検討することが重要です。
共有状態を解消する(避ける)方法としては、換価分割と持分売却の2つの選択肢があります。換価分割は不動産を売却して現金化する方法で、公平な分配が可能になる一方、売却には共有者全員の合意が必要です。一方、持分売却は単独で持分を売却できるメリットがありますが、売却価格が低くなることや、残りの共有者との関係悪化などのリスクもあります。
また、相続税や譲渡所得税など、税金の負担についても事前に確認しておく必要があります。
最適な選択肢を見極めるためには、専門家への相談が不可欠です。司法書士などの不動産の専門家に相談することで、よりスムーズに相続手続きを進めることができます。相続時のトラブルを防ぐためにも、早めに専門家の意見を取り入れながら対応することをおすすめします。
共有名義の不動産を相続した場合、すぐに売却できますか?
共有名義の不動産を売却するには、原則として共有者全員の同意が必要です。全員が売却に賛成している場合はスムーズに進められますが、一部の共有者が反対すると売却が難しくなります。その場合は、持分売却を検討するか、話し合いを重ねて合意形成を目指すことが重要です。
持分売却をすると、どのようなリスクがありますか?
持分売却の最大のリスクは、残りの共有者との関係が悪化する可能性があることです。持分を購入するのは、不動産投資会社や第三者であることが多く、残りの共有者との意向が合わないことがあります。また、持分のみでは市場価格より安くなる傾向があり、希望額で売却できない可能性もあります。
相続した不動産を共有名義のままにしておくと、どのような問題が起こりますか?
共有名義のままにすると、将来的に売却や活用が難しくなる可能性があります。例えば、相続が続くと持分がさらに細分化し、共有者が増えて意思決定が複雑になります。また、固定資産税や維持管理の負担を誰がどのように負担するかを明確にしておかないと、トラブルの原因になります。
換価分割と持分売却のどちらを選ぶべきか迷った場合、どうすればよいですか?
換価分割と持分売却のどちらを選ぶべきかは、共有者の意向や不動産の状況によります。共有者全員が売却に賛成しているなら換価分割が適していますが、反対者がいる場合や早急に現金化したい場合は持分売却を検討するのも一つの方法です。ただし、税金やトラブルのリスクもあるため、専門家に相談しながら決定することをおすすめします。
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