
翔ける司法書士事務所
代表 中村 翔太郎
司法書士試験に合格し、実務経験を積んだのち、2024年に独立し「翔ける司法書士事務所」を設立。
複雑な相続手続きや、円満な資産承継を実現するための遺言書作成や家族信託業務に精通し、大切な財産を次世代へ確実に引き継ぐ手続きをサポートします。
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[財産承継]
家族が亡くなった後に遺産を整理していたら「遺言書」が出てきた!
封がされているけど開封していいの?何か手続きが必要?遺産の分け方は話し合って決まってしまったんだけど遺言書が優先されるの?
本記事では、遺言書を見つけたときの正しい手続きや注意点を解説し、遺言書を発見した時の疑問にお答えします。
目次
故人の遺品から遺言書が出てきた場合、遺言書の種類によっては開封すると罰則が科されることもあるため、慎重に扱う必要があります。
遺言書には、大きく分けて「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」の3種類があります。それぞれ作成方法や保管場所が異なり、手続きも変わるため、まずはどの種類の遺言書なのかを確認することが重要です。
自筆証書遺言 は、故人が自分で全文を手書きし、署名捺印したものです。家庭裁判所で「検認」を受ける必要があり、勝手に開封してはいけません。最近では、法務局で保管されているケースもあります(法務局での保管についてはこちらの記事もご参照ください)。
公正証書遺言 は、公証役場で公証人が作成し、証人2人の立ち会いのもとで作成されます。この遺言書は公証役場に原本が保管されているため、検認手続きは不要です。
秘密証書遺言 は、本人が作成した遺言書を封印し、公証人と証人2人の前で手続きを行ったものです。封がされているため、開封せずに家庭裁判所で検認を受けなければなりません。
自筆証書遺言や秘密証書遺言を見つけた場合は、勝手に開封してはいけません。これらの遺言書は家庭裁判所での検認を受ける義務があり、検認時に開封されるため、もしその前に開封すると「5万円以下の過料」が科される可能性があります。
また、公正証書遺言の場合は、公証役場に原本が保管されているため、発見した遺言書の内容が正式なものかどうか、公証役場に確認しましょう。
誤った対応をすると、相続人間でトラブルが発生する原因にもなるため、慎重に対応しましょう。
遺言書の種類が自筆証書遺言または秘密証書遺言である場合、家庭裁判所で検認の手続きを受ける必要があります。
検認とは、裁判所が遺言書の存在と内容を確認し、相続人に対してその情報を共有するための手続きです。ただし、検認を受けたからといって、その遺言書の内容が必ずしも法的に有効であるとは限りません。たとえば、遺言書に法律上の不備がある場合は、裁判などによって相続人がその無効を主張できる可能性があります。
また、法務局に保管されている自筆証書遺言は、検認が不要です。そのため、遺言書が法務局に預けられている可能性がある場合は、事前に確認することが大切です。
検認の申し立ては、遺言書を発見した人や相続人が、故人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に対して行います。手続きには、以下の書類が必要です。
詳しくは裁判所のHPをご参照ください。
申し立て後、家庭裁判所が検認期日を指定し、相続人全員に通知が送られます。当日は、遺言書が本当に遺言者が残したものかの確認や、遺言書の記載内容を確認します。検認が完了すると裁判所から「検認済証明書」が発行され、これをもとに相続手続きを進めることができます。
検認を経ないで遺言の内容を執行した場合、「5万円以下の過料」が科される可能性があります。
また、検認を受けずに自筆証書遺言を使っての不動産の名義変更はできませんし、金融機関からも手続きを拒否されることがほとんどです。
遺言書の検認手続きが完了したら、いよいよ内容を確認することになります。しかし、遺言書の内容がすべて法的に有効であるとは限りません。遺言の内容に不明瞭な点がある場合や法的に問題があるケースでは、遺言書としての効力を活かすことができず、相続人間のトラブルに発展することも考えられます。
遺言書の内容が不明瞭な場合
遺言書には、財産の分配方法が細かく記載されていることが一般的ですが、時には曖昧な表現が使われている場合もあります。また、遺言書が手書きで書かれている場合、文字が判読しづらいこともあります。特に故人の直筆に癖があったり、病気等でうまく書けない場合、筆跡が不明瞭であることが考えられます。
遺言書が発見されても、その内容が必ずしも法的に有効とは限りません。特に以下のようなケースでは、遺言が無効とされる可能性があります。
遺言書の内容に疑問がある場合や、無効の可能性が考えられる場合は、相続トラブルを防ぐためにも早めに司法書士や弁護士などの専門家へ相談することが重要です。
相続人全員で遺産分割協議を終え、すでに遺産を分配した後になって遺言書が発見されることもあります。この場合、すでに成立した遺産分割協議の効力と、新たに発見された遺言書のどちらが優先されるかが問題になります。
特に、遺言書の内容が遺産分割協議の内容と大きく異なる場合、相続人間でトラブルが生じる可能性があるため、慎重に対応することが求められます。
基本的に、遺産分割協議は相続人全員の合意によって成立するため、法的に有効です。しかし、遺産分割協議を行った時点で遺言書の存在を知らなかった場合、遺産分割協議の内容よりも遺言書の内容が優先されることがあります。
たとえば、遺産分割協議では相続人全員で平等に財産を分けたものの、発見された遺言書には「特定の相続人に全財産を相続させる」と記されていた場合、遺産分割協議の変更を余儀なくされる可能性があります。
遺言書が法的に有効であり、かつその内容が遺産分割協議と異なる場合、原則として遺言書の内容が優先されます。そのため、すでに分配された遺産を遺言書に基づいて再分割しなければならない可能性があります。
ただし、すでに遺産分割が完了し、不動産の名義変更や銀行口座の解約が済んでいる場合、変更手続きが複雑になることもあります。このようなケースでは、相続人の全員が話し合い、共同相続人は遺言と異なる内容の遺産分割協議を成立させることができます。また、相続人全員が同意すれば、遺産分割協議をやり直すことも可能です。
遺産分割協議後に遺言書が発見されると、相続人間の関係が悪化する原因になりかねません。そのため、遺産分割協議を行う前に、以下の点を確認しておくと安心です。
遺言書を見つけた場合、まずは遺言書の種類を確認し、種類に合わせて適切な手続きを進めることが重要です。特に自筆証書遺言や秘密証書遺言は、勝手に開封せずに家庭裁判所で検認を受ける必要があります。誤った対応をすると、法律上の罰則が科される可能性もあるため、慎重に扱いましょう。
遺言書を見つけた際には、焦らずに正しい手続きを踏むことが大切です。分からないことや不安なことがあれば、司法書士などの専門家に相談しながら進めていきましょう。
遺言書を見つけたら、必ず検認手続きをしなければなりませんか?
自筆証書遺言や秘密証書遺言を見つけた場合、家庭裁判所で検認手続きを行う必要があります。一方、公正証書遺言は公証役場に原本が保管されており、検認手続きは不要です。
また、法務局に保管されている自筆証書遺言も、検認の必要がありません。遺言書の種類を確認し、適切な対応を取りましょう。
遺産分割協議を終えた後に遺言書が見つかった場合、どうすればよいですか?
遺産分割協議後に遺言書が発見された場合、その遺言書が法的に有効であれば、基本的に遺言書の内容が優先されます。相続人全員が合意すれば、改めて遺産分割協議をやり直すことも可能です。ただし、すでに遺産が分配されている場合は、手続きが複雑になるため、専門家に相談しながら対応することをおすすめします。
自筆証書遺言と公正証書遺言の違いは何ですか?
自筆証書遺言は、本人が全文を手書きし、署名捺印をして作成する遺言書です。費用をかけずに作成できますが、家庭裁判所で検認手続きが必要になります。一方、公正証書遺言は、公証役場で公証人が作成し、証人2人の立ち会いのもとで成立するため、信頼性が高く、検認手続きが不要です。確実な遺言を残したい場合は、公正証書遺言の作成を検討するとよいでしょう。
遺言書が無効になるのはどのようなケースですか?
遺言書が無効と判断されるケースには、以下のようなものがあります。
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